レンタル彼氏【完全版】
……その考えは当然のことなんだ。


私にも分からないよ。
どうして伊織がこんなに心の中にいるのか。


今も伊織が一人で泣いているんじゃないかって。


不安になる。
不安で潰されそうになる。


会ったら。

何か、分かるかな。


もしも、伊織がレンタル彼氏をしていなくて。
普通にバイト先の同僚とかならさ。

恋に発展したりしなかったのかな。


普通じゃない出会いだったから、こんなにも好きになってしまったのかな。



「………でもさ、そこまで好きだとちょっと応援もしたくなるわ」


「え?」


「だってさ、そこまで好きでいて、結局諦めるなんて悲しすぎるし」


「…尚子」


「まー、その好きな人と会ってから言いたいセリフではあるけど」


「ははっ、うん、そうだね」


「あー学に会いたくなってきたあ~」


「ぷっ」

ふふっと、尚子と顔を見合せて静かに笑った。


今日、和にメールしてみよう。

急に和に会いたくなったな。
和に喝入れてもらおう。



私は伊織を好きでいていいんだって。
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