レンタル彼氏【完全版】
「……何か、企んでるわけじゃないよね?」


何もないと信じてはいる。
だけど、念のため確認した。


「ないよ、あるわけないじゃん」


「……だよね」


「もうこの話はおしまいねっ」


「……………うん、そうだね!」


少し悩んでから、折角二人でいるんだから楽しい会話をしようと思って問い詰めることをやめた。



……私は。



例えまた裏切られようと、信じるって決めたんだ。

もう、信じるんだ。



疑って、疑心暗鬼になっても、いいことなんて一つもない。



信じることが出来なくて。

わからなくて。



その結果が聖の場合、復讐だったんだ。



もう、そんな思いさせたくないから。


復讐なんて楽しいわけ、ないじゃん。
中には楽しむ人もいるのかもしれない。



だけど、自分の心をすり減らしての復讐なんて。



後に残るモノは。




きっと、喪失感だけ。



復讐だけを糧に生きていたならなおさら、だ。
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