レンタル彼氏【完全版】
「…失礼しますはねーよ」


「えっ?そ、そう?かな…」


「あははっ、泉、変わらねえな…」


「伊織も変わらないよっ?」


「……そうかな」


「うん、…どんな伊織でも好きだけど」


「…ば、バカ、いきなり好きとか言うんじゃねえ」


「何で?」


「………いーから、何でもだよ!」


「そーなの?ふーん」


ホッとしたような顔を伊織が見せる。

それから、私の顔を見ると指で頬を撫でた。



「……すげえ顔」


「え?」


「…マスカラやら何やら全部落ちてひでえ」


「………!!」


酷いのはわかってたけど、そんな酷い?!


慌てて伊織から離れて、カバンを取ろうとする。


が、それを伊織が阻止した。





「……そんな、泉でもいい」



カバンに伸ばした私の手を掴むと、伊織は自分の手に絡ませた。



「……どれだけ、………どれだけ泉を欲しいと思ったかわかんねえ」


「…………伊織」


「……泉は…俺の、モンでしょ?」


「っっっ」





その言葉は、過去に私に伊織が言った言葉で。


それが胸を締め付けた。
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