『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——
世界がそれを求めているのなら————


なんでもしてみせよう。抗うすべなどない。


この壊れた世界の片すみで、きみを愛そう。

そのために、目をさませよ。

すべてはそこからしか、始まらないのだから————


やわらかな感触から、口を離す。


はじめは目の錯覚を疑った。あるいは、ただの痙攣かもしれないと、自分に言い聞かせる。
期待すればそれだけ、裏切られたときの失望は深いものだから。


———気のせいではない


世界の長いまつ毛が、震えている。

あえかながら、それでも生へとむかう、いつか見た白い蝶の羽ばたきのようなその動き。


扉を懸命にこじ開けているようだ。
< 97 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop