Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 涼太より仕事が早く終わり、久しぶりに定時で帰れる。事務所を出ると、小走りで涼太が後を追ってきた。耳元で「家で待ってて」と言って、私の手の中に鍵が滑りこんでくる。びっくりして振り返った時は、涼太は事務所の中に入った後だった。

 自分のアパートではなく、涼太の家に向かう。途中でスーパーに寄ろうかとも思ったけれど、多分、冷蔵庫の中はちゃんと食材が入っているはずだから、夕飯の心配はないかなと思い、真っ直ぐ涼太の家に行った。

 涼太の家は相変わらず奇麗にしてある。宏実さんの乱入を避けたい涼太のおかげで、ここに来るのは久しぶりだった。
 夕飯でも作って待っていようかな。
 カーディガンを脱いで、髪を束ねる。キッチンの横に取り付けてあるフックに掛かったエプロンを着け、キッチンへ入った時だった。
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