Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 横でもぞもぞと動く感覚で目が覚めた。寝返りを打ったせいで、反対を向いてしまった涼太の髪にそっと触れる。やっぱりメルに似ている。その感触を楽しむように髪を撫でていると、また涼太が寝返りを打ち、私の方を向いた。すると細く目が開く。

「おはよう、涼太」
「おはよう。よかった、ベッドの上で起きれて」
「しつこい」
 ちょっとお仕置きと思い、髪の毛を少し引っ張ってやった。

「痛いよ。ごめん。俺の髪、いじるのが好きなの?」
「うん。昔、飼っていた犬と涼太の髪、似てる」
 ゆるゆると指を動かしながら、ぼんやり涼太の顔を眺める。
「犬? どんな犬?」
「ポメラニアン。黒くて、ちょっとくせ毛のところが似てるの。メル」と言って、涼太の頭を抱きかかえるように抱きしめた。

 不服そうな顔で「俺、犬じゃないよ」と言っている涼太を無視して、「メル~」と言いながら頭を撫で、頬ずりをしながらふざけていた。これは面白い。

 すると突然、肩と背中に腕を回してきた涼太が、一瞬にして体を入れ替えた。上から見下げる涼太の目が爛々としている。いたずらをしすぎたかも。

「俺がポメラニアンのメルじゃないって、実感させましょう」
 やっぱり。
 勢いよく唇を塞がれる。
「ちょっと」
「人間ならでわの戯れ合いをたっぷりしような」
 涼太を止めることはできず、朝からごっそりと体力を奪われることになった。

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