Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 部屋に着くと、パーカーとデニムに着替えて、洗濯機を回した。そして大きなごみ袋を2つ持ち、部屋にある元カレとの思い出の品を"燃せるごみ"と"燃せないごみ"に分別しながら袋に突っ込んでいく。ついでに他のいらない物も一緒に捨てた。

 気がつけば窓の外は青い空から茜色の空に変わっていた。時計を見ればもう17時半。私は4つ目のゴミ袋を玄関に置いた。
 部屋にある本棚やラック、チェストの引き出しの中には、いくつかの空間が生まれている。

「これから、また新しい何かで埋めていけばいいよね」

 今日1日で、消して、泣いて、捨てたら、スッキリした。
 冷蔵庫に冷やしておいたコーヒー牛乳を飲み干す。空になったペットボトルを天井に投げてはキャッチを繰り返した。
 杉山のおかげで泣けたんだな。杉山は私が泣いたことすら知らないだろうけど。

「サンキュー、杉山」

 近くにあるゴミ箱に目掛けて空のペットボトルを投げる。それはコトッと、低い音を立ててゴミ箱の中に落ちた。
< 13 / 207 >

この作品をシェア

pagetop