Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「ああ、良かった。まだ並んでない」
 中野先輩が連れてきてくれたのは、うどん屋さんだった。

「ここのうどん、美味いんだ。最近、少し肌寒くなってきたから、余計に美味しく感じるんだ」
 2人席に向かい合って座り、私は山菜うどんを頼み、中野先輩は力うどんを頼んだ。

「どれだけ美味しいか楽しみです」
「絶対に美味いって言うはずだから」
「そう言われると、あえてずっと無言を貫き通しますよ」
 私がそう言うと中野先輩は笑った。

「なあ、聞いてもいいか?」
「はい、何ですか?」
「佐伯の彼氏って、どんな人?」
 まさかそんなことを聞かれるとは思わなくて、少しびっくりした。隠す必要もないので素直に答えた。

「実は同じ事務所で働いている人なんです」
「へえ。ああ、もしかして、あのできそうな感じの営業の人?」
「違います。その人は現在、婚約者さんとラブラブです」

「じゃあ、社長?」
「それも外れです。社長は既婚者ですよ。不倫に興味はありません」
 腕を組み考え込んでいる中野先輩。もう答えを言ってもいいだろうと思い「正解は」と、中野先輩の顔を見ながら言った。

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