Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「これはヘアークリーム、塗りまくってるから。主婦と仕事をやってるとどうしても自分のことが後回しになっちゃうのよね」
「結婚してる友だちも同じこと言ってた」
「みんな一緒か。ねえ、ナオちゃん、今度エステ一緒に行かない?」
「是非」
「うちのホテルの近くにあるエステサロンが、女子友フェアをやっててね、友だちと一緒に行くと30パーセントオフになるの。もちろん、お友達もね」
「30パーセントオフ! 行きたい」
「でしょ。アドレス交換しよう」

 宏実さんは部屋に携帯を取りに行った。私もカバンからスマホを取り出す。あれから着信はなにもなかった。キッチンの方を何の気なしに見ると、慣れた手つきで野菜を刻む杉山が見える。
 本当に料理するんだ。何度か男の人の料理姿を見たことがあったけれど、ほとんどの人が「その包丁の使い方やめて!」と心臓に悪かった。杉山の場合は安心できる。それに包丁の使い方を見れば、これから出てくる料理が美味しいかどうかはわかる。これは心配なし。

「お待たせ。旦那からのメール返してたから、ちょっと時間かかっちゃった」
 宏実さんは携帯というかスマホを持って、部屋から出てきた。その顔はなんだか嬉しそうだった。

「ううん。宏実さんって、付き合ってどれくらいで結婚を?」
「付き合って、半年。その前に2年間、飲み仲間だったからね。結婚は今年で2年目」
「そうなんだ」
「ナオちゃん、アドレス、アドレス」
 スマホを差し出して来た宏実さんとアドレスを交換した。

「これでいつでもナオちゃんと連絡が取れる。旦那の愚痴とか仕事の愚痴とかも聞いてね」
「私も仕事の愚痴、いっぱい言うかも」
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