Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 店内は関係者がひしめき合う。紙の上だけに存在していたものが、形になって現れるというのは、何度経験しても感動する。きっとこの建物は杉山にとって、デザイナーとしても大きな糧になるはず。
「佐伯さん、杉山さん」
 振り向くと企画の中原さんがいた。会うときは常にスーツ姿の中原さんも、今日はシルバーグレーのワンピースを着ている。

「プレオープン、おめでとうございます」
 杉山と2人で挨拶をした。

「素敵なデザインありがとうございます。関係者の方々にも評判がいいですよ。杉山さんのドアにガラスを使わなかった部分が特に評判いいです。男心をよくわかっていると」
「そう仰って頂けて嬉しいです」と、杉山は本当に嬉しそうに言った。
「このあと立食パーティもあるので、楽しんでいってください」
 中原さんは軽く会釈をして、他の来場している関係者のもとへ行った。

「よかったね、杉山」
「はい、本当に嬉しいです」

 簡易で設置された舞台の上に、中原さんと銀座店の店長である片桐さんが立っていた。
「みなさま、お待たせいたしました。ただいまより『natural jewelry』銀座店のプレオープンセレモニーを始めさせていただきます。司会進行を務めさせていただきます、中原美月です。どうぞよろしくお願い致します」

 中原さんの落ち着いた司会進行の中、20分くらいでセレモニーが終わり、近くのホテルに場所を移して、立食パーティが始まった。
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