パレット~私と君との1440日~
第1章

(加恋サイド)



それは、私が10歳の時だった。




私は、生まれつき体が弱く風邪を引きやすかった。




そして、また今日も病院にいる。




熱を出したからだった。




なのに・・・




「加恋ちゃんは、心臓病になっています」




そう、先生が口にした。



10歳の私には、それが何かは





はっきり理解できなかった。




でも、両親が涙を流し、悲しんでいたことは憶えている。




「加恋は、あとどのくらい生きられますか?」




顔をこわばらせ、先生の言葉を待つ両親。




「余命は・・・あと10年ぐらいでしょう」




あと10年。つまり20歳。




それから、私の入院生活が始まった。



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