「1495日の初恋」

上原くんが描いた背景の前で、私の作った衣装を着た役者が演じる。

何だか夢のようだった。

しかも、話はシンデレラ。
私の気持ちは、お姫様気分。


幸せな気分に浸りながら、リハーサルを見ていた私に、悪いお知らせ。


衣装破れて、手直しが必要になった。

リハーサルを見て思ったが、役者は、舞台で激しく動く。

思っていたより、もっとしっかり作らないとダメなんだ。



明後日が本番、早く直さなきゃ。
私は、破けた衣装とひたすら格闘した。

みんなのために私ができることを、最後まで精一杯やりたかった。



ガタン!

大きな音にびっくりして、針を指に刺してしまう。

「痛っ!」


「あ、ごめん。」


帰る支度をし終わった上原くんが、ドアのところから駆けてきた。


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