【完】芸能人に、恋をした。



華絵の小さな声ですら響く、静かな住宅街。






「なんで?あたしじゃ、ダメ?」



「………」



「絶対にあたしの方が、蓮のこと好きだよ」





縋(スガ)り付くように俺の胸で涙を流す。



そんな華絵の両肩を掴んで、体を離す。







「俺は、陽菜しかいらない。

俺が陽菜を必要としてるんだ。


一番好きな女と、一緒にいたい」





そう告げると、ボロボロと涙を流す華絵は


「わかった、バイバイ…」




そう言って去っていった。









──陽菜、早く会いたい。




こんなときに不謹慎かもしれないけど


それだけ、俺には陽菜だけだった。





< 196 / 208 >

この作品をシェア

pagetop