クリスマス残夢


家に帰ったら、テーブルの上には今朝あなたに贈ったプレゼントの箱が置いてあった。


もう、手に触れるのも見るのも嫌。


私は放置したまま、いつものように急いで晩御飯の支度を始める。子供たちがお腹を空かせているのだから。


台所で忙しく動く私の足元に、下の子がやって来た。


「ママ、このペン、誰の?」


掲げて見せるのは、あなたに贈ったプレゼント。下の子は目敏いから、もう見つけたんだ。


「さあ、誰のかなあ? パパのかもしれないね」

「パパの? いいなあ、このペン欲しいなあ」

「パパに聞いてごらん、くれるかもしれないよ」

「うん、わかった」


下の子は嬉しそうにリビングへと戻っていく。もう自分のものになった気でいるらしい。


でも、よかった。
無駄にならなくて。


要らないなら、捨ててしまおうかと思っていたから。






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