クリスマス残夢


買い物を終えて、下の子を保育所に迎えに行く車から見えた景色。日が傾き、寂しさを増してきた道路沿いの住宅に、まだ火の点らないイルミネーションが飾られている。


辺りが暗くなり、輝き始めたら綺麗なんだろう。灯りの点った景色を想像しながら通り過ぎていく。


「もうすぐクリスマスだね、子供たちのプレゼントどうする?」

「どうするって、何か欲しいって言ってたから買ってあげたら?」


相変わらず、素っ気ない返事。
淡々として抑揚なんてない、気持ちに左右されることもない。気持ちが込もっていたことなんて、今までほとんどないかもしれない。


「二人とも本でいい? ゲームなんて言ってたけど、ずっとやりっぱなしだと目が悪くなるでしょ?」

「ああ、好きにしたら? まだ日にちあるし、欲しいものが変わるかもしれないし」

「そうだね、でもゲームは嫌だなあ……」


と返したのに、あなたは黙り込んでしまった。

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