ある日、いじめが始まった。



そこからは特に会話は交わしてないけど隣にみっちゃんがいてくれるだけで言葉では表せないような安心感があった。


次第に私の目からは涙も止まり練習が終わる頃には笑えるまでに回復した。





そしてその日の練習も終わり帰りのミーティングが始まる。




「始まりのミーティングでも言ったように明日からは夏休みだ。予定がない限り部活に出るように励んでくれ。この出席日数も今後の大会でのレギュラーに関係するから……」





さっきまではあんなに夏休みの練習頑張ろう!って思ってたのに、

行くのが億劫(おっくう)になったな……






「では姿勢、礼!」


「「さようなら!」」




号令と共に平井はさっさと体育館を出ていく。

皆もさあ帰ろう、とでも言うようにそそくさとバッグを肩に掛ける。



でも私達1年生は先輩達の後に出なくてはいけない______という決まり。





「「先輩、さようなら!」」




1年生女子の皆は先輩達に頭を下げる。

私も慌てて皆と同じように頭を下げた。





「ばいばーい! ……あ、千秋ちゃんだ♪ げんげんによろしくね〜」



「……あ、は、はい………」





先輩の笑顔が痛い。

私だけ名前を出して呼んでくれるのはすごく嬉しいのに。




さっきあんなこと言われたばかりだから皆からどんな視線で見られているのか怖い。



振り返ったら怖い視線が飛んできそうで…





”調子乗んなよ!”

”先輩の前でぶりっ子すんな!”




そんな言葉を浴びせられそうで……





先輩達が退出した後、私は逃げるように体育館の外へ出た。







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