Your smile once again

それぞれの想い

〈side 香澄〉

「はぁ……」


誰もいないロビーで、一人ため息をついた。

怜音は、一人になりたいと部屋にいる。


でもなんでだろう。

あんまり、ショックじゃないな……。


むしろ葵がああ言ってくれて、ホッとした。

吹っ切れたっていうか。
「香澄」

後ろから、聞きなれた声がした。

私、その声を聞いただけですっごく安心しちゃったんだ。

冬哉は、優しい。

お人好しってくらい優しい。

いつでも応援してくれてた。

葵へのふわふわした曖昧な思いも、全部、全部聞いてくれた。


『そっか』


それが冬哉の口癖だ。

回りが聞けば、素っ気なく聞こえるかもしれないけど、冬哉なりの優しさだと、私は思う。


冬哉は、人を傷つけないように、よく考えてから言葉を発する。


考えすぎるから、無口に見えるんだ。
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