Your smile once again

真川奈々

「洸っ!会いに来たよぉっ!」

クラスが変わってまだ数日。

教室にはまだ慣れない空気が漂っていた。

そんなある日。
三限目が終わった十分休みに、二組に甘ったるい声が響いた。


「……っ!奈々ッ!?」


笹原がビックリした様子で立ち上がる。



「お前、ここに入ったのか!」
「うん、だって洸に会いたいもん♪」


なんだ、この絡み辛そうな一年は。


化粧で顔が崩れている。

ファンデーション、厚く塗りすぎだと思った。


奈々って子は笹原にベッタリくっついて、上目使いで話す。


しばらくして、笹原が戻ってきた。


出席番号順なので笹原の席は、私の後ろだ。


「……中学の頃の、後輩でさ。引っ越す前の家の近所に住んでたんだよ」


「へぇ」

笹原は中学生の頃、東高濱高校の近くに住んでいたのだけど、
卒業と共に今の家に引っ越したらしい。


「慕ってくれるのは嬉しいんだけど……な。わかるだろ?」


「うん」

私は気遣うような視線を向けた。

笹原が呆れ顔のまま、男子の輪に入っていった。
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