縛鎖−bakusa−
 


「何で?

私にはまだまだ寿命は残されているのに何で?

やだよ…誰か…誰か助けて!!鎖を外して!!」




大声で叫ぶ声がトンネル内に反響する。


自分の叫びの余韻が消えた時、真後ろに彼の声を聞いた。



振り返ると亮介君が立っていた。



いつもと同じ姿。

緑色のジャンパーにグレーの迷彩柄のズボン、紺色の運動靴。

額には赤い血を一筋流して私を見上げていた。



いつもと同じ12歳の悲しい霊体…

だが違う点もある事にハッと気付いた。



彼の右足首に巻かれた鎖が無かった。


そして今日は泣いていない。


明るく嬉しそうな顔して私に笑い掛ける。



『千歳、僕の鎖を貰ってくれてありがとう!』



「え…?」




意味が分からなかった。

私は亮介君の想いは背負っていない。

彼の下に母親を連れて来た事はないし、成仏させてもいない。



それに、生ある私にとって鎖は心に巻き付く物であり、

霊体の様に足首に付けられたりはしない。



< 128 / 159 >

この作品をシェア

pagetop