星ふる夜に…
私の場合、中学の頃に学校で首を怪我した後遺症でちょくちょく倒れることがあったために、出入りを許可されていた。
まぁ、近頃は流石に倒れたりすることもないのが本当のところだけれど。
怪我したのが学校だったためか、学校側がかなり同情的なので、利用させてもらっている。
時々やってくるこの部屋は、大きすぎず、狭すぎず、めったに誰も来ないので(少なくとも、今まで人を見たことがなかったので)静かで、私のお気に入りの場所だった。
まさか隣で人が寝ていようとはっ!
ここにはベッドが2つしかないのだから、門脇さんとやらは隣にいるのだろう。
案の定、革靴の音はカーテン越しで止まった。

「あれ?寝てるかな?」

優しげな低い声は、入って来た時とちがって、笑みを含んだような可愛らしい印象をもたせる声に変わった。

「門脇さーん」

カサカサと掛け布団とシーツが擦り合わさる音がする。

「もしもしー?」

こほっ。小さく可愛らしい咳を一つして

「先生…?」

門脇さんとやらが甘えた声を出す。

「あ、起きました?」

先生と呼ばれた彼は良かった、と安堵の声をあげる。

絶対はじめっから起きてたよ!この子。
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