可愛くないって言わないで!!
「もっと自分を大事にしろよ、真衣」
「……コウ?」
「大丈夫だ気にしないってお前は言うけど。俺にはたまに、お前が傷だらけで立ってるように見えるんだよ」
傷、だらけ?
あたしが?
「痛々しくて、黙って見てらんねーよ」
一瞬、
波の音が消えた。
からみ、止まり、ほどけない視線。
心臓の音だけが、どこか遠くで聞こえていた。
ふと、コウの薄茶の瞳がふせられる。
その瞬間、すべての音が戻ってきた。
コウの耳が赤いのは、太陽のせいだろうか。
でもきっと、あたしの頬はそれ以上に赤い。
ねえ、コウ。
なんであたしを気にしてくれるの?
なんであたしに優しくしてくれるの?
言ってくれなきゃ、うぬぼれるよ。
勝手に好きなように考えちゃうよ。