可愛くないって言わないで!!


「黙ってても目立っちゃうんだからしょーがないじゃん」


「もうあたし、転校やだ。次はお姉ちゃんひとりで転校してよね」


「真子。やめなさい。……真子は小学校どうだった? クラスになじめそう?」


「お姉ちゃんがまた目立つことしなければね」


「真子……」


「ごちそうさま」



真子はさっさと食事を終わらせて、自分の部屋に消えていった。

古い家の廊下がみしみし鳴って、やがて静かになる。



「真子もそろそろ反抗期かしら……」


「なんで真子ってあんなに暗いの? 顔が普通すぎるんだから、にこにこしてないと可愛くないよね」


「真衣はまたそういうことを言う。真子まで転校しなきゃいけなくなったのは、あんたのとばっちりでもあるんだから。お姉ちゃんらしく優しくしてあげなさいよ」



別にあたし、転校したいなんて言ってないのに。

勝手に決めたのはお父さんとお母さんじゃん。


< 35 / 289 >

この作品をシェア

pagetop