可愛くないって言わないで!!

みんな、あたしを見てる。


言えばいいのに。

クラスメイトも小津くんも、昼休みのことを言えばいい。



チクられたって、別にあたしは痛くもかゆくもないんだから。



「あとで家に電話してみるか。じゃあ今日はこれで終わり。日直号令~」




結局、誰も何も言わなかった。

あたしも。



「藤村さん」



さっさと帰ろうとした時、前の席の小津くんが振り返った。


ようやく文句かと思えば、



「あいつのことは、気にしなくていいから」



なんて言う。


なんなの?

この学校にはお人好ししかいないの?


ばっかみたい。



「あいつって、どっちのこと?」


「ああ……。藤村さん的にはどっちを気にしてる?」


「別にどっちも気にしてない」

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