可愛くないって言わないで!!
「見てない」
「またあいつにひでーこと言う気か?」
「は? だったらなに? またあたしのこと殴るの?」
まだ腫れの残る左頬をつきだして見せれば、
島田光太郎はちょっと怯んだみたいに後退りした。
「お、まえ……いい加減にしろよ」
「こっちのセリフなんだけど。なんなのみんなして。せっかくあたしが折れてやろうかと思ってんのに、見るな話しかけるなって感じで邪魔するしっ」
「……は?」
「あーほんとムカつく! もうやめた! だいたい、あたし悪くないし! 謝るのとか向いてないし! 勝手にあたしのこと悪く言ってればいいよ!」
「いって! あ、おいっ!」
むしゃくしゃして、持ってたカロリーメイトを島田光太郎に投げつけた。
それをあいつが拾ってる隙に駆け出す。
向かう場所なんて決まってないけど、とにかく走った。