可愛くないって言わないで!!

彼女はすぐに視線をそらして、足早に去っていった。

小津くんがあわてて追いかけていく。



いくらあの子でも、あたしが恐いんだろうな。


また何言われるか、わかったもんじゃないもんね。

避けられて当然だ。



「……どうするのが正解なんだろ」


「人と人との関わり方に、正解なんてのはないんじゃないか?」


「でもあたしは、不正解ばかり選んでた気がする」



だからあたしはずっと孤独で

いまも孤独のままなのかも。



別にそれでもいいって思ってた。

平気だって言い聞かせてた。


なんでもない、つらくなんかない。

だって問題があるのは周りなんだからって。


あたしは何も悪くないって。



傷なんてつかない。

痛くなんかない。


だから平気なんだって、本当の自分の心の声を無視してきた。

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