可愛くないって言わないで!!

左手が、しっかり握られる。




なんで……



なんであたし、こんなにドキドキしてんの?



相手はコウだ。


バカでムカつく失礼なコウだ。



それなのに、なんで……。





「俺、お前のことけっこう好きかも」


「!?」




あたしの手を握ったまま、

コウはニッと眩しい笑顔でそう言った。



だから言ったじゃん。

男は結局みんなあたしを好きになるんだよ。



って、

いつもの調子で鼻で笑えばいいのに。




ドキドキし過ぎて、何も言えなかった。


ただ固まって、コウの笑顔を見ていた。





顔が燃えるように熱かったのは、


夏の太陽のせいだけじゃ、きっとない。









あたしの初恋が、やってきた。








< 90 / 289 >

この作品をシェア

pagetop