キアギス

「ついでに記憶も戻してやろう」

ファイステリトリーは手を合わせた。
（片手を180°動かした形）

そして、手を離してゆくに連れ有彩色の玉が現れた。

玉は、色を変えながら輝いていた。

「柚。思い出すのだ。自分が何者なのかを！！『イリウキミワヌウ（記憶修復）』さぁ、敵を倒すんだ！！」

玉が俺に近付いてくる…。

身体は動かない……

避けれない…

ザシュッ

「大丈夫か！？柚」

紗月が玉を剣で切っていた。

「邪魔をするな！！魔王！！！」

魔王…？

今…ファイスが紗月に向かって魔王と言った…？

「ハハッ！ばれてたのか！！なんだ…お前を殺して世界を地獄にしてやろうと思ったのに…♪」

紗月は見た事の無い不気味な笑みを浮かべた。

「紗月…？」

いつの間にか縛りは解かれていた。

「しかし、柚も馬鹿だよな！！こんなに似てない兄弟がいるわけねぇだろ！！もぅ、柚はいらねぇや♪甜花！由衣！！やるぞ！！」

「はい♪久々の人殺しだわ♪」

紗月・甜花・由衣が一斉に襲って来た。

「三対二はキツイ。一度ひくぞ！！」

そう言ってファイスは窓を破り、外へ飛び出した。

下は一面白い。

えっ！？雲の上！！？

流石に死にますよ！！

俺がそう考えていると…

「大丈夫だ。安心しなさい」

安心しなさいって…無理あるよ〜！！

「俺を信じろ柚」

一瞬ファイスを紗月と間違えてしまうくらい紗月と同じ口調で言った。

「さて、落下中だが今しかない。やるぞ『イリウキミワヌウ（記憶修復）』」

ファイスは同じ手順で玉を出した。

そして、玉は俺の中へ入って行った。

「ッ〜」

激しい頭痛が俺を襲う。

「柚。思い出したか？」

「……紗月兄さん…？」

思い出した…。

ファイステリトリーは紗月兄さんだ…。

「チェ…思い出したのか…」

紗月が言った。

「じゃあ、姿を戻そうかな…」

男が言った。

「ファイステリトリーも本当の姿にしろよ」

魔王が言った。

「その方が本気になるだろ？」

憎き敵が言った。

「ザクンデュス…許さない…」

急に過去の記憶が蘇った。