キアギス
俺は感情の赴くままにザクンデュスに飛び掛かった。

「遊ぶ気になった?良かったよ。また、天使を喰える」

「柚!!待て!落ち着くんだ!!今行ったら殺されるって事が分からないのか…」

紗月が叫んだが到底俺の耳には届いてなかった。

「ば〜か…俺は呪言なしで魔法を使えるんだぜ?」

呪言とは魔法を使う際に言う言葉だ。

これが無いと魔法が発動しなかったり、発動しても弱かったりする。

しかし、魔法とは元々悪魔の作った術だ。

悪魔が使いこなせるのもおかしくない。

だけど…

「それが、どうした…」

「怖さが分かってないな。例えば…」

ザクンデュスが手をかざすと、八方から氷の矢が飛んで来た。

「『サセ(盾)』こんなもので太刀打ち出来るとでも…?まだまだだね…」

俺は速度を一気に上げてザクンデュスに切り掛かった。

「ッ…」

ザクンデュスは咄嗟に体を反らし急所を裂けたが頬を掠めた。

「……ちょっとムカつくね…」

ザクンデュスは血を拭いながら言った。

「やりますか?」

甜花と由衣がザクンデュスの傷を治しながら言った。

「そうだね。やろう…」

ザクンデュスがそう言うと三人共両手をかざした。

「GO!!」

ザクンデュスの合図で一斉に魔法の弾を出し始めた。

「〜ッ流石に…無理だろ…」

俺は徐々に押されていた。

「柚。大丈夫か?『イムワア(強化)』此処は俺が引き受けるから倒してこい!!あと、お前も呪言無しで魔法が使えるんだ。黙っててすまない」

紗月は俺の盾を強化した。

そして、ザクンデュスを見ながら言った。

しかし、その眼差しは淋しそうだった。

「兄さん?何かあった?」

「…いや。…それより、そろそろあいつらの魔力の尽きる頃だ。倒せ ザクンデュスを!!」

「…あぁ!!」


俺は何と無く分かっていた気がする。

今から起こる悲劇を…。


「(まずは後ろに瞬間移動して、聖剣のナイフで心臓を刺せばいくらザクンデュスでも死ぬだろう)」

俺は早速行動に移した。
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