ラベンダーと星空の約束
 


それにしても、
この指輪、どうやって流星に返そう…



何も打ち明けられなくなった今、面と向かって返す事が出来ない。

でも返さずに、私がずっと持っていていい物ではない。



これは流星の母親の形見の指輪。

流星にとって凄く大切な物。

どうやって返したら…



流星の部屋に入る機会があったら、そっと置いてこようか…?



無くした指輪をこんな所にしまい込んでいたのかと、

不思議に思わず見付かった事を喜んでくれるだろうか…?



無理だよね…

大樹の汚い部屋じゃあるまいし、流星の部屋は片付いているから、

どこに何を置いているのか把握していると思う。



指輪を見付けた直前に部屋に入れた人物を考えて、

私が置いて行ったとバレるかも知れない。



いや…その前に、
流星の部屋に入れる機会なんて、私にはもう与えられないかも。




瑞希君にも頼めない。

散々期待を持たせて、大樹を選んだと知れば、きっと軽蔑される。

瑞希君は、流星の良き理解者だから。




じゃあ…流星の実家に偽名で郵送する?

これも駄目だ。

怪しい物だと思われて、中身を確認せずに処分されたり、

受け取りすら拒否されるかも知れない。

指輪が紛失したら大変。




どうしよう…

返す方法が見つからない…



< 288 / 825 >

この作品をシェア

pagetop