ラベンダーと星空の約束
それにしても、
この指輪、どうやって流星に返そう…
何も打ち明けられなくなった今、面と向かって返す事が出来ない。
でも返さずに、私がずっと持っていていい物ではない。
これは流星の母親の形見の指輪。
流星にとって凄く大切な物。
どうやって返したら…
流星の部屋に入る機会があったら、そっと置いてこようか…?
無くした指輪をこんな所にしまい込んでいたのかと、
不思議に思わず見付かった事を喜んでくれるだろうか…?
無理だよね…
大樹の汚い部屋じゃあるまいし、流星の部屋は片付いているから、
どこに何を置いているのか把握していると思う。
指輪を見付けた直前に部屋に入れた人物を考えて、
私が置いて行ったとバレるかも知れない。
いや…その前に、
流星の部屋に入れる機会なんて、私にはもう与えられないかも。
瑞希君にも頼めない。
散々期待を持たせて、大樹を選んだと知れば、きっと軽蔑される。
瑞希君は、流星の良き理解者だから。
じゃあ…流星の実家に偽名で郵送する?
これも駄目だ。
怪しい物だと思われて、中身を確認せずに処分されたり、
受け取りすら拒否されるかも知れない。
指輪が紛失したら大変。
どうしよう…
返す方法が見つからない…