ラベンダーと星空の約束

 



 ◇◇◇


フラノの短い夏は駆け足で去り、観光シーズンの盛況さも終わりを迎えていた。



一面の紫色のラベンダー畑は数日前に花の刈り込みを終え、淋しげな色合いの丘に戻っている。



お客さんの疎らな店内で、
レジ打ちをしながら、ぼんやり物思いに耽る。



8月下旬、夏休みも明日でお終い。

大樹と付き合う事にしたと、夏休み中に流星に言わなければならない。

それが大樹との約束。



だけど、東京に戻る前日になっても、まだ言い出せずにいた。



怖かった。

傷付く流星を想像すると、胸が痛い…

意を決して電話を掛けても、結局言えずに、くだらない話しで会話を終了させてしまう。




大樹は農作物の収穫が始まり忙しくなった為、
今はうちの店の手伝いはしていない。



きっと今日はスイートコーンの収穫に、早朝から畑で汗を流している筈。



そう思っていると、
午後1時を過ぎた頃、大樹が店に入ってきた。




「大樹? どうしたの?」


「今、親父達休憩中」


「そっか。お昼食べた?何か作ろうか?」


「いや、食ってきたからいい。

客少なくなったなー…すっかりシーズンオフだな」



閑散とした店内を見回し、大樹はそう言った。



「うん。夏ってあっという間に過ぎるよね。急に暇になると淋しいかも」


「暇なのか。
それなら…付き合え」


「あっ 暇でも店番は…」




勝手に店を空けられないが、大樹は私の手を引き、店を出ようとする。



慌てて軽食スペースにいる青空に声を掛ける。

レジ前を頼むと、
「え〜」と不満そうな返事をされた。



「ごめんね」という声を残し、私は大樹と外へ出た。



大樹がどこへ向かっているのかと言うと…私の部屋。

これから何をするのかも、勿論分かっている。



初体験の日から求められるまま、数回体を重ねてきた。

そして今も…



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