ラベンダーと星空の約束

 


 ◇◇◇


[side 大樹]



くそっ この飛行機、遅っせーな。

もっと速く飛べねーのか。

マッハでぶっ飛ばせってーの!



旭川空港発羽田行きの飛行機の中、イライラしながら外を眺めていた。



小さな窓から見えるのはぶ厚い灰色の雲海。



“雲海”なんて言葉を、俺が知ってんのは変だって?

そんくらい知ってるよ。
バカにすんなよバーカ!



あ゙〜ムカツク、腹立つ、イライラする。

遅っせー。




高度はまだかなり高い所を飛んでいて、後1時間は空の上にいなきゃなんねぇ。



紫が東京に戻って行ったのは、つい昨日の事。


それなのに俺はその翌日の今日、紫に会う為、東京に向かっている。




理由は、今朝オカマ野郎から掛かってきた一本の電話だった。



冬休みだから早起きする必要もねーし、まだぐっすり寝ていたのに、

朝8時、しつこく鳴り続けるスマホのコール音で起こされた。




誰だよ…こんな朝っぱらから…紫か?


あいつはまた、鳥の声で早く目が覚めたから暇つぶしに付き合えとか、ババ臭せぇ事言う気か?



しかし、寝ぼけて不機嫌な俺の耳に入ってきたのは紫の声じゃなく、

やたらと真面目くさった、暗いオカマの声。




『大樹…紫ちゃんが壊れちゃった……

僕じゃ、どうにもならないんだよ……

お願い助けて。今すぐ来て』




オカマの言ってる意味がすぐには分かんなかった。



昨日の紫は、いつもと何も変わらなかったぞ?

壊れるって何だよ?

玩具じゃねーのに何言ってやがる。



それに今すぐ来いって…俺ん家にはドラ〇もんはいねーよ。

無理に決まってんだろーが、アホか。




オカマからは今まで何度か、目覚めの悪い嫌がらせ電話を喰らってきた。



まだ紫を諦めていなかった時に、紫が流星にキスされてるとか…それ以上の事されてるとか…

そんな最悪なモーニングコールを掛けてくる奴だ。



だから今回は新バージョンでも考えたのかと思って、切ってやろうとした。



けど…次の言葉で、俺の寝ぼけた目は大きく開かれ、一気に目が覚めた。



< 660 / 825 >

この作品をシェア

pagetop