ラベンダーと星空の約束
「よし、タマラ、明日の朝は日本食にしよう!」
「そうだねぇ。ライスとミソスープとそれから…
タイキ、日本食って、後は何を用意すればいいんだい?」
「そうだな、朝だから、目玉焼きとウィンナーがあればいいぞ」
「ブワハハッ!それだと日本食じゃないだろ。
お前さんは面白い男だな!」
「そうか?ジイサンもその髭、サンタクロースみてぇで面白いぞ」
「ブワハハッ!気に入った!
タイキ、好きなだけ泊まっていけ。
明日は、観光に連れて行ってやるぞ!」
少し離れた所から、呆気に取られて見ている俺。
「リュウもあれくらい言ってもいいんだよ」
我妻さんはそう言って俺の肩をポンと叩くと、楽し気な食卓に混ざりに行ってしまった。
「あれくらい言ってもいい」
と言われても、俺には無理がある。
「ライスの用意するかい?」
と聞かれたら、俺なら皆と同じでいいと答える。
しかし大樹は…
「ライスはない」と言われても、
「米が食いたい」と言えるんだな…
驚かされた事はそれだけではない。
未(イマ)だにイワンさんを『じいちゃん』と呼ぶ事に抵抗のある俺だが…
大樹は初対面で平然と『ジイサン』と呼び、
女性のタマラさんにまで『バアサン』だなんて…
信じられないな……
それから…イワンさんの風貌がサンタクロースみたいだと、俺も常々思っていたが、口には出せなかった。
もしかして気を悪くさせては…と思った為なのだが、
大樹はストレートに「その髭サンタクロースみたいで面白い」と言って退けた。
凄いな…大樹……
図々しいを通り越して、清々しささえ感じる遠慮のなさだな。
「おう、金髪姉ちゃん、ビーフ何とかおかわり」
「あら残念。もうお鍋は空っぽよ」
「マジで?食い足りねぇ」
「アーニャ、この間買ってきた旨い生ハムまだあっただろ?
あれとウォッカ出して来い。
タイキ一杯やろうじゃないか。飲めるんだろ?」
「おう、俺、結構酒強いぞ」