ラベンダーと星空の約束
昼間の大樹のおかしな様子を思い出し
「なるほど」と納得していた。
慌ただしい昼時に調理場に顔を出したのは、流星に頼まれ、私の様子を確認しに来たのか。
万が一私が暇そうにしていたら、流星が帰って来たと言うつもりだったのかな。
あの時は言わないでくれて正解だった。
超多忙な最中に知らされても、その後の仕事は手につかないだろうし、
喜びの反面、今すぐ逢いたいのに会いに行けないと、ジレンマに陥る所だった。
「仕事が終わってからの夕方なら、来てくれて構わなかったのに」
「そうも思ったけどさ、今日はプロポーズすると決めていたし、ロマンチックに行きたかったから、夜まで待とうと考え直した。
考えていたロマンチックなプロポーズのストーリーは、君のお陰でその通りとは行かなかったけどね、ハハッ」
「ふーん、だから大樹は星を見ろなんて、らしくない事を言い出したんだ…
ジンギスカンキャラメルまで買って、かなり挙動不審だったよね」
「ああ、アレ全部俺が食べたよ。
結構美味しかった」
「………」
「紫?何で黙ってるの?
暗くて表情が分からないよ。
俺の味覚の心配?」
「違うよ、あのキャラメルが意外と美味しいことは、私も食べたから知ってる。
知らない物を売る訳にいかないし。
そうじゃなくて…私より先に、大樹が流星といっぱい会話してたんだと思ったら、大樹にムカついて…」
「ハハッ それは大樹のせいじゃなく、俺のせいだから許して。
今回は饅頭の箱で殴るのを勘弁してあげて?」
「あっ!!それも大樹が告げ口したの!?
あ〜もうっアイツは…」
私のイメージが悪くなると焦ったけど、流星は楽しそうに笑っていた。
二人手を繋ぎ、ジャリジャリと砂利道を進みながら「まぁいいか」と私も笑う事にした。
これから流星と共に生活して行くのだから、隠し事なんてしたくない。
大樹に対する私の態度を、今更変えるのも不可能だ。