終わらない物語
初めまして



* 李瑚side *







春。

桜の花弁が散る。


真新しい制服に身を包み、
期待と緊張で胸を躍らせるあたし。



橋本 李瑚。

今日高校生になったばかりの16歳。


部活を引退してから伸ばし続けてきた髪は、肩に付く位の長さになった。

これでちょっとは大人っぽく見えるかなー、なんて思ったけど、
低身長の上にこの童顔だ。


綺麗に磨かれた窓ガラスに映る、大人っぽいとは程遠い自分の姿を見て、少ししょんぼりする。



入学式が終わり、教室に移動する。

あたしは、5組らしい。


( うわ〜、大人しそうな子ばっかりやな…。 )


クラスに同じ中学の子は何人か居たけど、どの子もあんまり話したことのない子だった。



七三分けの担任が教壇に立ち、挨拶をする。

そこから、長い、有難い話が始まった。


( 長い話…。早く終わらんかな…。 )


その話をぼーっと聞いていた。


「〜…、それではね、出席番号順に自己紹介をしましょうね。」


なんか面倒臭そうなお決まりの自己紹介とやらが始まった。


みんな順番に自己紹介していく。

その中で、一際目を引いた奴がいた。


「神崎 優です!えっと、中学ん時生徒会長してたんでー、調子気なとこあると思いますが、宜しくお願いしまぁす!」


「「「……。」」」


( おいおい。なんだこいつ。みんな引いちゃったよ。)


斜め前の席に座る"ソイツ"に視線を向ける。


( 背ぇ高…。180くらいある? )

二重のぱっちりとした目。綺麗に鼻筋の通った鼻。引き締められた口元。ショートのつんつんした髪。


( 見た目はかっこええねんけどなぁ…。 )

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