【完】小さなしあわせ、重ねよう。

ネコ

.*..*..*..*..*..*..*..*..*..*.


ポカポカとした陽気に包まれ始めた。

大学では第4学年へと進級した。


「ふふっ...ニーニー言ってかわいい♪」


俺の家の近くにある公園に畑辺と来ていた。

最近俺らは同棲を始めた。


畑辺は目の前のネコたちに夢中だ。

母ネコに子ネコが2匹。

母ネコは余程人慣れしているのか全く警戒心がない。
むしろ近寄ってくる。


「可愛いね」

「うん!…でも、お母さんネコ随分痩せちゃってる...可哀想...」

「そうだね」


畑辺の言う通り、母ネコは随分と痩せ細っている。

なかなか食べ物も無いのに、子供には乳をあげないといけないからだろう。

……そうか、警戒心がないというよりは、餌を貰おうと必死なんだ。


「ごめんな。なにも持ってないんだ」


そう言いながら母ネコの頭を撫でると、
困ったように、ニャーンと一鳴きした。


「田邊くん...」

「ん?な、に...?」


畑辺が甘えたような目で見てくる。

…うーん。
嫌な予感しかしないんだけど。

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