【完】小さなしあわせ、重ねよう。

再会

.*..*..*..*..*..*..*..*..*..*.


目の前にあるのは5階建て築十数年程のアパート。

最後に見た日と変わらない佇まい。

少し変わったと言えば、
白かった壁が黒ずんだところだ。

…たった、それだけ。


「お父さん、本当にいらっしゃるかな?」

「たぶん、いると思う。。」

「そっか」


そんな気がするんだ。
まだここにいるような、
待ってくれているような。

だいぶ錆び付いたエレベーターに乗って、
『5』のボタンを押しながらそう思った。


『ドアが開きます』というエレベーターの声と同時にドアが開く。

出て右を向き、突き当たりまで真っ直ぐ進むと、『505』と少し錆び付いていて読みにくいが、そう書いてある扉に当たる。

ここが以前、父と二人暮らしをしていた家。

もっと言えば、母が病気を患うまでは家族三人で暮らしていた場所だ。

昔からすると、全体的に少し錆びれてしまっているような気がした。



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