初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
つい昨日のこと。
6時間目の数学が自習になって、やる気のでない課題プリントを眺めていた時だった。
隣の席の南雲くんの周りに集まるクラスメイトたち。
「絢星って好きな人いないの?」
その言葉が、クラス中の視線を集めた。
いないよって、言うと思った。
たぶん、クラスの誰もがそう思ってた。
でも、彼は自分の好きな人の話をするとは思えないような通常運転で。
慌てもしなければ照れもせずに、淡々と。
「…この人?」
と、左隣に座っている私を指差した。