華は儚し

―――



江戸城の門の前でいつ桐里が出てくるかと思いきや、


「宗十郎様!」


「桐里!」


罪にとらわれていた女と共に

木製の扉から出てきたのだ。

年女の言う通り、

桐里はいい子でいたのかもな。


胸に飛び込んで太夫が、

俺に会いたかった、

そのままの気持ちを伝えるのだ。


浮かれてはいけないと頭で言い聞かせていても、

浮かれてしまう。
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