イケナイ狼君の××。


「まぁでも、元から話してみたいって思ってたんだよ!」

「えっ?」


元から…?

頭の上にハテナマークが浮かぶ。


「仁からいっぱーいひかりの話聞いてたからさ!」

「え!?
な、なんで仁!?」

「あ、言い忘れてた!
アタシ仁の幼馴染っ!」

「えぇぇぇぇぇぇぇ!!?」


また大きく驚く。

お、幼馴染!?
仁ってなんかすごいなぁ…!


「仁の家にワケあって住まわしてもらってるの!
それでよくひかりの話聞いててね?
話してみたくって!」

「そう…なんだ…!」


私のことを話の話題に入れてくれていたことに嬉しくなる。
さっき瑠璃が少し仁と似てるなって思ったのも、きっと仁とずっといたからなんだと思う。

私って意外と鋭い?


「あ、早く行かないとね!」

「そうだったー!」


二人で急いで校舎側の生徒会へ行く。
初めて学校を楽しいと思えた。
こういうことを多分、私は昔からしたかったんだ。
友達がいて、友達といっぱいお話して…
学校の行事もテストも必死で頑張って。
そんな普通の生活が…ただ送りたかっただけ。

私…

いろいろと考えていると、あっという間に生徒会へと着いた。
中を覗くと、この前ミーティングに来ていた生徒会の人達数人と…見知らぬ赤茶髪の男の子がいた。
しかも制服じゃなくてスーツ。
その男の子が私達に気づいて近づいてきた。

こ、怖い…!
不良みたい…!


「やぁ、君たち!
準備はかどってる?」

「あ、あの…その…」

「ちょっと!
そんな軽いノリだと理事長っぽくないじゃない!」

「え…」


瑠璃の言った言葉に耳を疑う。

い、今…
確かに理事長って…


「もっとシャキっとしてよ!
理事長ならその髪の毛とかスーツとか、もっとキッチリしないと!」

「わーったって!
説教はもういいからよ!」


普通に会話する二人に挟まれて何もできなくなる。

ど、どういうこと!?


「あ、ごめんねひかり!
この人こう見えて一応理事長なの」

「初めまして…なのか?
わかんねぇけど、一応初めまして!
神風樂(かみかぜ がく)、22歳だ!」


や、やっぱり理事長!?
っていうか22歳!?
こんなに若い人が理事長!?
そ、それもそうだけど…
今神風って言ったよね…?

冷静に考えてみると、仁と同じ苗字。
神風なんて苗字は珍しいから、たまたまかぶるはずがない。


「あ、あの…理事長さん」

「ん?」

「じ……生徒会長ともしかして…」

「あー!あの手がかかってしゃあねぇ弟か!」


や、やっぱり!?

改めても驚いた。

な、なんか今日いろいろありすぎて頭が混乱しそう…



「いつも弟が世話んなってるな。
これからもよろしく頼むぜ、ひかり」

「へ…は、はい!」


顔が赤くなる。

い、いきなり頼むなんて言われたら恥ずかしくなっちゃう…!//


「いいなぁ!
アタシもこういう甘酸っぱい恋がしたいっ」

「おまっ…!
浮気は許さねぇぞ!」

「しないよー!
アタシは樂しか見えてないんだからっ」

「お、おう…!」


いきなり熱いラブラブオーラ全開になる二人。

も、もしかして恋人同士…?


「あ、また言うの忘れてた!
樂ね?アタシの旦那さんなの!」

「え…
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇえええええええ!!!??」


本日最高の驚き。

だ、旦那さん!?
ってことは結婚してるってこと!?
ちょ、ちょっと待って…!


「ひかりが混乱してんだろうが」

「あはは、ごめんねひかり。
でもほんとに結婚してるの」

「ふ、ふえ…」


私の頭はパンパンで破裂しそう。


「い、いつ結婚…したの?」

「えっとね、去年のアタシの誕生日に!
丁度16歳になった時、樂がプロポーズしてくれたの♡」

「や、やめろよ!
恥ずかしい!」


じゅ、16で結婚…
ほんとすごなぁ…

ラブラブな二人を見て幸せになる。

こんな風に私も仁となれたらいいな…なんて!
何考えてるんだろう私!




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