そして、また


「は?」
低くて、でもなんだか心地の良い声で彼が答えた。

私は彼が私の言葉に反応してくれた事が嬉しくてフッと笑ってしまった。
喜んでるのが彼に気づかれたら嫌だから、私はそれ以上はなにも言わず席に座った。

彼もたいして気に止めなかったのかすぐに隣の席に座る。

もう少し気にしてくれてもいいのに、なんてバカな事を考えてしまった。

その日は結局なにも話さずに終わった。

それから毎日、朝と帰り。
「おはよう」と「バイバイ」
それだけ言っていた。

そうあいさつし続けちょうど3週間くらいたったころ。
彼が朝、「おお」と答えてくれた。
最初の「は?」以来初めて彼が返してくれたのだ。
私は嬉しくて嬉しくて、顔がにやけた。
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