田中のくせに!!
田中は放課後は花凛ちゃんと会っているのか、たまに帰りが遅くなることもあって。
でも、それに対して田中は何も言わないし…
あたしも何も聞かない。
あたしが口出しできることじゃないし…
どこまで踏み込んでいいのかも分からない。
中庭のベンチに、隣同士で座る二人の距離は、とても近くて。
…楢崎くんは、こんな二人の姿を見て…何も思わないのかな?
花凛ちゃんは…田中に楢崎くんのことを相談しているの?
田中はそれを、どんな気持ちで聞いているのかな…。
…あたしは一体、これからこの想いを
どうしたらいいんだろう…
「…はぁー…」
「ため息つくと幸せ逃げるよ〜?」
…?
突然、すぐ隣から聞こえてきた、どうにも聞き覚えのあるこの声。
独特の、緩い話し方…。
「久しぶり、まどかチャ〜ン♪」
「せっ、瀬名晴人!?」
一体いつからそこにいたのか
瀬名晴人があたしと同じように窓枠に腕をついて、もう片方の手をヒラヒラと振っていた。
神出鬼没すぎでしょっ…!!