田中のくせに!!
「じゃ、そろそろ行くか」
ブレザーを羽織った田中がカバンを持つ。
「うん、いってらっしゃ~い」
歯ブラシをくわえたまま手を振ると
「…行かねーの?」
チラッとそんなあたしを見て、田中が言った。
「いや、行くよ?歯磨いたら」
「…じゃなくて」
言いづらそうに、モゴモゴしてる田中。
「…早く準備しろよ」
「うん…うん!?」
も、もしかして
一緒に学校行こうってこと!?
「わ、わかった…待ってて!」
大急ぎで洗面所に駆け込み、ブクブクとうがいをする。
今までは登校も下校も、だいたいバラバラだった。
なのに、
(…どういう風の吹き回し!?)
でも、素直に嬉しい。