好きって気づけよ。




心愛はそれに、おどろいた表情をみせる。

さっきと同じ表情。



そしてゆっくりと、俺を見あげた。




「そっか……。サト先輩だったんだね」




確信した声でそう言って、心愛は小さくほほ笑んだ。

それが悲しそうな笑顔に見えて。



心愛……?



俺がそう名前を呼ぼうとした瞬間、心愛は「さき帰ってるね!」と廊下を走って行った。



まるで、

俺から逃げるみたいに。




 ・

 ・

 *

 ・

 
< 206 / 356 >

この作品をシェア

pagetop