冷淡なキミの二番目彼女。


 「俺に、近付かないで。」

 さっきみたいな、怒り任せな恭じゃなくて。冷たい表情で、遠くを見ているような瞳。告白する前の恭だ。


 「恭のこと、諦めれない。」

 大学受験のときに一目惚れしてずっとずっと恭を追いかけてきた。恭は私なんかちっとも見てくれなかったけど。


 「あんた、バカなの?」

 きっと無理とか、嫌だとか返ってくると覚悟していた恭からの言葉は、自分が予想していたものとは違って。


 「え?」

 無表情だった恭の表情が、どこか困っているように見える私の目は、都合良いのかもしれない。


 「首絞めて来た相手に、告白なんて。狂ってる。」

 女子大生の首を絞めた恭が言うか、それ。


 「もっと自分を大切にしなよ。」

 どうやら私の目だけではなく、耳までもが都合良くできているらしい。


 「俺の一番は一生綾音だけだ。」

 切なそうに、切なそうにそう告げる。恭にこんな表情をさせる【綾音】さんは、何者なのだろう。


 「なら、二番でいいよ。」


 切なそうな恭の表情を見て、ほぼ無意識に呟いた言葉。


 「え?」

 今度は恭が、私の言葉を聞き返した。


 「だから、恭の一番じゃなくてもいい。恭の二番目でいいから、彼女にしてって言ってるの。」

 恭の目をまっすぐ見つめて、自分の気持ちを伝える。私って、いつの間にかこんなに恭を好きになっていたんだ。


 なんで、こんなに必死なんだろう。


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