今昔狐物語
「玖羅加。生きていこう?一緒に」
彼がどんな罪を犯していようと構わない。
(玖羅加と一緒にいたい)
望むものは、彼との未来。
鞠紗は玖羅加の無防備な唇に、そっと優しく口づけた。
そして彼は…。
「…………僕は、ずっと…夢に見てたんだ」
人に憧れ、夢を見た。
「鞠紗に恋をして、人間に憧れて――」
孤独だった、混血の青年。
「いつか、一緒に暮らせたらと…」
泣きながらも、玖羅加は美しく笑った。
「なら、その夢…もう叶ったね」
鞠紗もとびきりの笑顔を送った。
「これからも一緒だよ。玖羅加」