人形の妹と王子の兄
それなのに…

俺の可憐を…、


許せなかった。

許せるわけがなかった。


確かにあの時の荒木は

正直カッコいいとは思った。


可憐のために体を張って

守ったのは褒めるが…、

それとこれと…。


「いいよねっ!

この子も今回の撮影に入れるのは!」

「いいよいいよ、

そんな可愛い子なら

読者も喜ぶと思うよ」


遠慮がちに俺に

手を伸ばした彼女の手を

つなぐ荒木が手に取って、

視線を合わせ、


「…兄妹と付き合うなんて

気持ちが悪いよ、

部長」


超言われたくねえことを

言われて仕事に行った。
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