『※ BLではありません。』



父親が死んだ。



その事実は、僕の意識の奥深くから
海底から緩やかに連なるあぶくのように
じわじわと寂しさをうみだしていた。




正直に言うと、悲しくはない。




世間的に言う、DVなるものが割とこまめにあったし、頭も固くてすぐ怒鳴る父親をどうしても僕は好きになれなかったから。




でも

寂しいという感情は確かにあった。




それがもう会えぬ人となった彼を思うものなのか、


''人は死ぬ''という、どうしようもない現象に対して抱くものなのか、



よくわからないけれど。





< 36 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop