トリプルトラブル
珠希と美紀の進む道
 高校の卒業式が近づいてくる。

美紀は母と同じ道を進みたくて、秋に珠希の母校の短大を受験し合格した。

中学で体育教師。
これで少しは正樹の助けになるはずだった。


珠希と同じ夢……
それが美紀の目標だった。


中学でソフトテニスの顧問をしながら、国民体育大会の出場準備をする。
珠希と全く同じコースを美紀は歩もうとしていた。


誰に教えてもらった訳ではない。

美紀自らが希望して、この道を選んだのだ。


美紀はやはり正樹だけを愛していたのだった。
ママの思いを一心に受けて……


そう思えるようになったのは、沙耶に打ち明けてからだ。

でもバレンタインデーのだいぶ前より進路は決めていた美紀。


(――ママの分まで頑張るからね)
美紀は玄関前でやっと顔を出したチューリップの葉っぱを見ながら誓った。




 ――ガチャ。

玄関を開けると又水仙が目に入。
水仙は長く咲いてくれるから嬉しいはずなのに、あのバレンタインの日を境に辛い花になった。

その花は春の香りを届けてくれる。
でもそれは……
もう一つ。

悲しい珠希との別れ日を思い出してしまうからだった。

もうじき、珠希の七回忌が来る。


ホワイトデーのお返しに男性陣の作った花壇。
其処に咲くこの花が又悲しみを告げていた。


でも又……
まだ美紀は……
あの日の自分を許せないでいた。




 パパに愛してもらいたくて、バレンタインデーの夜決意した。

本性を剥き出しにしたのは自分なのに、全てを二人の母のせいにした。

自分に憑依しているママがパパを欲しがっている。

鏡に映る姿にそう言い聞かせた。

だから、そのために行動させられたと思い込もうとした。

でも美紀には解っていた。
本当にパパを欲しかったのは自分なんだと。


そうでなくては説明出来ない数々のママに対する嫉妬。
ジェラシー。


メラメラと燃え上がるその炎は、まさにそれだったのだから。

パパに愛されているママを妬んだ証拠だから。




< 102 / 229 >

この作品をシェア

pagetop