friendship
第四話 友情


家に帰って、真里と一緒に
昼ご飯を食べた。


「亜紀ねーちゃんのママとパパは?」
「真里と同じだよ」
「居ないの・・・?」


真里はコロッケを食べていた箸を置き、
小さなリュックから写真を取り出した。


「真里のママとパパ。・・・これしか無いの」
「・・・」


永原と真里が両親と写っている
写真を眺めていると携帯電話が鳴った。


「もしもし、永原・・・誰?」


それは、永原真央がバイト先で
倒れた事を知らせる電話だった。
アタシの携帯にかけてきたのは、
アドレス帳から適当にかけてきたらしい。


「真里、ちょっと病院行ってくる。・・・戸締まりしてくから待ってな」


最低限の飲み物と食べ物を
真里に残してアタシは病院に向かった。


「すいません、永原真央が運ばれたらしいんすけど・・・どこですか?」


受付の人が看護師を呼び、
その看護師に案内された。


「この病室よ。今日倒れたのは、過労とストレスが原因で・・・病気とは関係無いわ」
「そうですか」


アタシは永原の病室に入った。
そこには、バイト先の店長と名乗る人が
永原の寝るベットの横に居た。


「真央ちゃんの友達ですか?」
「そんな感じです。・・・まだ起きないんすか」
「さっき、点滴をして眠ったとこです。真央ちゃんは働き者でね・・・親御さんも居ないし、頑張りすぎたのかな」


永原の目がゆっくり開いた。


「・・・亜紀ちゃん?」
「俺が電話したんだ。真央ちゃん、体の事もあるし・・・しばらくバイトは休みな」
「だめです!私が働かなきゃ真里はどうなるんですか?真里には・・・私しか居ないんです」
「真央ちゃん。容態が悪化したら、それこそ妹は1人になってしまうんだ」


アタシは2人のやりとりを
静かに見ていた。


「病気を治すより、真里をちゃんと学校に通わせてあげたいんです。病気を治すのは遠回りしても構わないんです」
「・・・店があるから帰るな。せめて1ヶ月は休みなさい。その間の生活費は店の金を送るから」
「店長・・・ありがとうございます」


店長は帰った。
永原は俯いたままだ。


「あのさ、倒れるまで働くなんてバカだな」
「ウチは・・・真里に不自由させたくないから」
「・・・真里の気持ちは考えた事あるか?」


ベットの隣にある椅子に座った。


「真里はさ・・・毎日、永原が帰ってくるのをずっと待ってる。自分が待ってる人が・・・ある日突然帰って来なくなったら、悲しいだろ?」
「・・・」
「アタシは、そうなったから。だからさ・・・ちゃんと真里の元に帰ってほしい。だから、無理はすんなよ」
「涙・・・出てるよ」


自分の頬を触ると、
頬が涙で濡れていた。








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