桜花物語
「桜の宮様、夕壺様のお屋敷にお着きになりました」

牛車の外から家士が言った。

私は、十二単をひるがせ牛車から降りた。
「桜の宮っ!!」

夕壺さんがお屋敷から出てきて、私に飛び付いた。

「きゃっ…」

「会いたかった…桜の宮っ!!」

少し掠れた声で夕壺さんは言った。

「私も会いとうございました。」

夕壺さんの背中に腕をまわし、しっかりと抱き締めた。

「さぁ、上がって」

夕壺さんが差し出した手をしっかりと握り、一般貴族よりも少し大きめのお屋敷に入った。
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